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HANDS-ON ・ 提案書ワークフロー

ヒアリングから提案スライドまで

GenAI活用スキル向上支援 第3回|アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社 御中|2026年8月21日(金)
正味 [360min]演習 4本講師 安田 光喜
S1

第1回・第2回の振り返り

第1回(7月31日)で Claude Code と保管庫を、第2回(8月3日)でスライド生成までを扱いました。今日はその2つを、実際の提案書づくりの流れに載せます。

技術を覚えていただく日ではありません。相談を受けてから提案書が出るまでの間で、どこを AI に任せ、どこで自分が判断するか。その線を引くために手を動かします。

前の2回で手元に残ったもの

第1回(7月31日)
  • Obsidian の保管庫(PMVault)。フォルダ構成と、そこへ貯める流れ
  • 調べ物を出典つきで残す Skill。自分で1つ作っていただきました
  • CLAUDE.md。指示の前提を書き置いて、毎回書かなくて済むようにする仕組み
第2回(8月3日)
  • 業務を1つ動くものにする流れ(/gyomu)
  • テンプレートに沿ったスライドを出すキット。今日も後半で使います
  • 保管庫を回る状態にする /vault-keep

使えているものと、開かなくなったものが分かれているはずです。開かなくなったほうは、 たいてい「開くきっかけがない」か「入れる手間が回収できない」のどちらかです。 今日はそこを、仕組み側(Hook と Skill)で埋めます。

相談から提案書までの流れ

いつもの順番
  • クライアントから相談が来る(口頭・議事メモ・RFP)
  • 足りない情報を聞き出す
  • 公開情報と競合の状況を調べる
  • 言うことの順番を決める(ストーリーライン)
  • スライドに落とす

今日はこの5段のうち、2番目から4番目を厚く扱います。5番目のスライド化そのものは、貴社で全社展開が進んでいる生成機能に渡す形にします。

今日つくるもの4つ

終わったときに手元に残ります
  • ヒアリングツール HTML ファイル1本。入力するとストーリーラインまで出ます
  • 提案スライド 自分で直したストーリーラインから起こした PPTX
  • 案件フォルダの Skill 次の案件で1コマンド。~/.claude/skills/ に残ります
  • PowerPoint のアドイン 右側のパネルに、自分で足した機能が動きます

今日の流れ

午前 [150min]昼休憩 [60min]午後 [210min]S1振り返り第1・2回S3デモ理想フローS4演習①シート作成S5演習①ストーリーS7演習①PPTX回収S8演習②フォルダS9演習③過去事例S10Tips24時間S11議論夜に任せるS12演習④アドイン午前はヒアリングツールを作り、昼をはさんでスライドを回収します。
1日の流れ
午前 [150min]
  • [20min] 第1回・第2回の振り返り
  • [30min] 提案書作成の理想フローと注意点。講師が実演します
  • [10min] 休憩
  • [50min] 演習① ヒアリングシートを作る
  • [25min] 演習① ストーリーラインを出して、手で直す
  • [15min] 演習① Claude Code に渡す。投げたら昼休憩です
午後 [210min]
  • [20min] 演習① 出てきた PPTX を手直しする
  • [40min] 演習② 案件フォルダを用意する Skill
  • [60min] 演習③ 過去事例の読ませ方と、AIが資料をどう読むか
  • [10min] 休憩
  • [10min] AI 時代の24時間
  • [25min] ディスカッション
  • [35min] 演習④ PowerPoint のアドイン
  • [10min] 持ち帰りと質疑

進め方の約束

3つだけ
  • 待ち時間は必ず出ます。その間は座学に切り替えます。AI が動いている画面は放っておいて構いません
  • 詰まったら手を挙げてください。同じところで複数名が詰まったら、全体を止めます
  • 実データは入れません。この1点だけは例外なしです
入れないものクライアント名、案件名、未公開の財務数値、個人情報、社内の未公開資料の本文、認証情報。演習の題材はダミーを用意してあります。A社からE社はすべて架空の呼称です。演習③で配る報告書3本だけは実物で、うち2本は貴社内およびグループ企業内に限定という注記が入っています。
深い質問は最後に回します座学のあとに演習が来る形で組んでいます。座学が伸びると手を動かす時間が削られるので、踏み込んだ質問は最後の質疑に送らせてください。
S2

環境の確認

ダブルクリック1回で終わります。この場で入れるものはありません。

場所 配布フォルダの一番上使うもの SETUP-Mac.command / SETUP-Windows.bat成果物 この資料がブラウザで開いた状態目安 [10min]
動かす
セットアップファイルをダブルクリックする

Mac の方は SETUP-Mac.command、Windows の方は SETUP-Windows.bat です。1分ほどで終わり、この資料がブラウザで開きます。

確かめる
Node.js が入っているか

午後の演習④で使います。セットアップの画面に node のバージョンが出ていれば大丈夫です。「要対応」と出た方は、その画面のまま手を挙げてください。演習④まで時間があるので、午前中に直します。

確かめる
アドインの部品が取り寄せてあるか

事前セットアップの手順4です。05_アドイン演習/99_完成品/ を開いて、node_modules というフォルダがあれば済んでいます。無い方は手を挙げてください。取り寄せに数分かかるので、昼休憩までに順番に済ませます。ここで全体は止めません。

S3

提案書作成の理想フローと注意点

ここは見ていただくパートです。手は動かしません。

形式 講師実演見どころ 判断を差し込む位置目安 [30min]
1文字起こしに所感を足す所感は音声で足す2段階を分けて指示途中で軌道修正できる3Hook が要約と器を用意保存した瞬間に自動で4骨子を手で直すここだけは人の判断1〜3は仕組みに寄せられます。4だけは自動になりません。午前の演習①で作るのは、この4番目の場所です。
実演の流れと、人の判断が入る場所
見る
文字起こしに、打ち合わせの所感を音声で足す

1時間の打ち合わせの文字起こし(架空案件・約1万字)を用意してあります。これをそのまま提案の材料にはできません。文字起こしには、相手の温度感や席上で言えなかったことが乗らないためです。そこを打ち合わせに出た人の所感として、音声入力で足すところからお見せします。第1回で音声入力そのものはお見せしているので、今日は「どこまで音声で足して、どこから文字にするか」を見てください。

見る
同じ依頼を、まとめて投げる場合と分けて投げる場合

1つの依頼文にまとめて投げると、論理は通っているのに「その案件で言うべきこと」からずれたものが出ます。相談内容の整理、足りない情報の洗い出し、言う順番の決定。この3つを分けて指示すると、途中で軌道修正できます。両方を並べてお見せします。

見る
Hook で要約と提案書フォルダを自動で作る

入力したものを任意の場所へ落とすと、Hook が働いて要約が作られ、提案書用のフォルダが立ち上がります。毎回同じ手作業をしている部分を、仕組み側に寄せる例としてお見せします。

先に絵にしない早い段階でスライドの画像まで作ってしまうと、そこから直すのに時間がかかります。順番が決まるまでは文字のままにしておくほうが速く終わります。
S4

演習① ヒアリングシートを作る

HTML ファイル1本です。何を必ず聞くかは、AI ではなくご自身で決めます。

場所 02_ヒアリングツール演習/使うもの Claude Code成果物 hearing.html目安 [50min]
ヒアリングシートの画面。相手、いまの状態、と番号つきの見出しが並び、それぞれに会社名・業界・規模などの入力欄がある
完成したときの見え方 項目の数も並び順も、ご自身で決めたものになります。この画面は参考解のもので、7項目に絞ってあります。打ち合わせ中に上から順に埋められることが条件です。
考える
必ず聞く項目を、自分で決める [10min]

直近で担当された案件を1つ思い浮かべてください。あのとき「聞いておけばよかった」と思ったことは何でしたか。それが項目になります。

埋める欄
  • 相手の会社と業界、規模
  • いまの状態と、そう判断している根拠
  • どうなっていたいか。達成したと言える条件
  • 制約(予算・期間・体制・社内の力関係)
  • 誰が決めるか。決裁の道筋
  • 過去に試したことと、なぜ止まったか
  • 次に握るアクションと期限

この7つは目安です。ご自身の領域で必ず聞くものがあれば足してください。逆に不要なものは削ります。

書く
要件メモに落とす [10min]

02_ヒアリングツール演習/要件メモ.md を開いて、決めた項目を箇条書きにします。ここは AI に書かせません。きれいな文章にする必要はありません。書くのは項目名だけです。思い浮かべた案件の実名や数字は、ここにも書きません。

投げる
Claude Code に作らせる [25min]

演習フォルダで Claude Code を起動し、要件メモを読ませて作らせます。次の1行を末尾に足すと安定します。

単一のHTMLファイル1本にまとめ、外部ライブラリとCDNは使わず、入力内容はブラウザのlocalStorageに保存してください。

出てきたらブラウザで開いて、実際に入力してみます。欄が足りない、順番が違うと感じたら、その場で直させます。

確かめる
できたと言える条件 [5min]
3つとも満たしたら次へ
  • 決めた項目がすべて画面にある
  • 入力した内容がページを閉じても残る
  • 入力途中でも保存される(送信ボタンを押さないと消える作りになっていない)
手が止まったときhints/step1_項目の決め方.md と hints/step2_作らせる指示.md に、考え方と参考プロンプトがあります。なお 99_参考解/ は、自分で作り終えてから開いてください。先に見ると、自分で項目を決める機会がなくなります。
時間が足りなくなったとき90_スターター/hearing_starter.html に、保存と骨子生成の仕組みだけが入った骨組みがあります。ここから始めて、項目の差し替えに時間を使う形でも構いません。項目を自分で決めることが演習の本体で、そこは変わりません。
S5

演習① ストーリーラインを出して、手で直す

ここが今日の山場です。出てきた順番をそのまま使いません。

場所 02_ヒアリングツール演習/使うもの 作った hearing.html成果物 直したストーリーライン目安 [25min]
提案の骨子が箇条書きで出た画面。本日いただいたご相談、現状の確認、目指す状態、という見出しの下に入力内容が並んでいる
ボタンを押すとこれが出ます 入力から機械的に組んだだけのものです。そのまま使えるものは出ません。順番を入れ替え、言い過ぎを削り、抜けている論点を足すのがこの [25min] です。
足す
ストーリーラインが出るようにする [10min]

作ったシートに、入力内容から提案スライドの構成を箇条書きで出す機能を足します。Claude Code に頼むときは、何を根拠に何を並べるかまで指定します。「入力欄の内容をもとに」だけだと、一般論が出ます。

直す
箇条書きを手で直す [15min]

入力に使う情報は 02_ヒアリングツール演習/ダミー案件.md にあります。架空の産業機械メーカーの案件です。これを入れて、出てきた箇条書きを見てください。そのまま使えるものは、まず出ません。順番を入れ替える、言い過ぎているところを削る、抜けている論点を足す。ここを自分でやります。

見るところ
  • 最初に置くべき結論が、最初に来ているか
  • 相手が一番気にしていることが、途中に埋もれていないか
  • 根拠のない主張が混ざっていないか
  • この案件で言う必要のない一般論が入っていないか
手が止まったときhints/step3_ストーリーライン.md に参考プロンプトがあります。空欄を勝手に埋めさせない指定がここの肝です。
直した箇所を覚えておいてください次に同じ形の案件が来たとき、同じところを直すことになります。繰り返し直している箇所が、シート側に足すべき項目です。2回目からはそこが自動で埋まります。
S6

演習① Claude Code に渡す

投げて、ページの並びを承認したら昼休憩です。生成は休憩の間に走らせます。

場所 02_ヒアリングツール演習/使うもの /adl_deck2成果物 PPTX(昼休憩の間に生成)目安 [15min]
写す
直した箇条書きをコピーする

画面のコピーボタンから、直したストーリーラインをそのまま取ります。整形し直す必要はありません。箇条書きのままで渡します。

投げる
スライド生成キットに渡す

Claude Code の入力欄に、まず次を打って Enter を押します。

/adl_deck2

キットが立ち上がったら、続けて直した箇条書きを貼り付け、末尾に次の1行を足して送ります。

この骨子の順番どおりに、1項目1ページで作ってください。書いていないことは足さないでください。

この1行がないと、体裁を整えるために一般論のページが挟まります。足りない情報(誰に向けた資料か、など)を聞かれたら、ダミー案件.md の内容から一言で答えれば進みます。

承認
ページの並びに OK を出してから、昼休憩へ

生成の前に、キットが「この並びで作ります」とページの一覧を見せて止まります。ここで返事をしないと、昼休憩の間なにも進みません。並びを見て、直した骨子のとおりなら「承認します」と返します。返してから席を立ってください。

昼休憩 [60min]この間、処理が動き続けます。PC は閉じず、スリープさせないでください。戻ってきたら、出てきたものを開くところから再開します。
S7

演習① 出てきた PPTX を手直しする

昼休憩の間に生成されたものを開きます。

場所 02_ヒアリングツール演習/成果物 手直しした PPTX目安 [20min]
開く
生成されたスライドを開く

生成物は output/deck.pptx に出ています。PowerPoint か Keynote で開きます。見つからないときは Claude Code に「どこに出しましたか」と聞けば場所を答えます。まず全ページを流し見して、直したストーリーラインの順番どおりに並んでいるかを見ます。

確かめる
フォーマットが合っているか

ここは 90% 合っていれば良い、という基準では通りません。文字の大きさ、余白、ロゴの位置、出所の書き方。1つでもずれていれば、そのまま社外には出せません。ずれている箇所を挙げてから、まとめて直させます。

見るところ
  • ストーリーラインの1項目が、1ページに対応しているか
  • 言っていないことが足されていないか
  • 数字に出所が付いているか
  • テンプレートの体裁から外れている箇所はどこか
直す
作り直すか、直すかを決める

ずれが3か所以内なら手で直したほうが速いです。それ以上なら、ストーリーラインを直してから作り直します。この判断を1回やっておくと、次からは迷いません。

S8

演習② 案件フォルダを用意する Skill

新しい案件が立つたびに手で作っているフォルダを、1コマンドにします。

場所 03_案件フォルダSkill演習/使うもの Claude Code成果物 ~/.claude/skills/ に置いた Skill目安 [40min]
知る
Skill が何かを、実物で見る [5min]

第1回で1つ作っていただきましたが、今日は改めて中身を開きます。SKILL.md というファイル1枚で、Claude Code に「この名前で呼ばれたらこう動く」を教えています。プログラムではありません。日本語で書いた手順書です。最小の形と各行の意味は 03_案件フォルダSkill演習/SKILL_とは.md にあります。

考える
どういうフォルダ構成にするか [10min]

ひな形はこの形です。ただしこれが正解というわけではありません。

ひな形
<案件名>/
├── 01raw/       もらった生データ
├── 02research/  調べたもの
├── 03plan/      ストーリーラインとスライドプラン
├── 04assets/    図表・画像
├── 05pptx/      出力
└── AGENTS.md    この案件でのAIの動き方
3つ考えてください
  • AGENTS.md に何を書くか。この案件で守らせたいこと、参照させたいもの
  • 他の分け方はないか。案件別ではなくクライアント別、あるいは時系列
  • ご自身の実務なら、どこを変えるか
作る
Skill を作らせる [20min]

決めた構成を Claude Code に伝えて、Skill を作らせます。作ったら ~/.claude/skills/ に置いて、実際に呼んでみます。空のフォルダで試して、想定どおりのものが立ち上がるかを見ます。

確かめる
できたと言える条件 [5min]
3つとも満たしたら次へ
  • コマンドを1つ打つと、フォルダ一式ができる
  • AGENTS.md に中身が書かれている(空ファイルではない)
  • 別の案件名でもう一度実行できる
手が止まったときhints/step1_Skillの作らせ方.md に参考プロンプトと、呼び出せないときの直し方があります。99_参考解/ は自分で作り終えてから開いてください。
時間が足りなくなったとき90_スターター/anken-init/ に、そのまま動く穴埋め雛形があります。~/.claude/skills/ にコピーして、フォルダ構成と AGENTS.md の2箇所を書き換えれば自分のものになります。
AGENTS.md がこの演習の本体ですフォルダを作るだけなら手でもできます。効いてくるのは、その案件で AI に守らせたいことを書き置ける点です。出所の付け方、使ってよい情報の範囲、避けたい表現。案件が変わればここだけ書き換えます。
S9

演習③ 過去事例の読ませ方

同じ問いを、読ませ方を変えて投げます。答えがどう変わるかを見ます。

場所 04_過去事例演習/素材 実際の報告書3本(92p / 78p / 187p)成果物 4通りの出力の比較と、手元の資料の判定目安 [60min]
見た目はどれも同じ PDF です。機械で文字を取り出すと、こうなります。 2025 工作機械 92ページ 92ページ分の文字が取れる 100% 2024 蓄電池 78ページ・公開版 78ページ分の文字が取れる 100% 2023 バイオ医薬品 187ページ 取れたのは最後の1ページだけ。202文字 0.5% 残りの186ページは、1ページまるごと画像です。人の目には読めますが、AI からは1文字も見えていません。
配る報告書3本から、機械で取り出せた文字の量
開く
素材を見る [5min]

04_過去事例演習/ADL報告書/ に、実際に納品された報告書が3本入っています。

3本とも経済産業省向けの調査報告書です
  • 2025年 工作機械のルール形成戦略(92ページ)
  • 2024年 蓄電池のデューデリジェンス(78ページ・公開版)
  • 2023年 バイオ医薬品と再生医療の技術動向(187ページ)

見た目はどれも同じ PDF です。開けば読めます。ところが1本だけ、AI から見ると中身が空っぽです。どれがそうなのかは、この演習の中で自分で見つけてください。

知る
4つの読ませ方 [5min]
それぞれ得意なことが違います
  • Wiki 型 人が要約して1枚にまとめておく。正確で速いが、更新が止まる
  • RAG 型 全文を検索させる。更新は楽だが、聞き方によって拾えないものが出る
  • Agentic RAG 型 AI がフォルダを歩いて、必要なものを自分で開く。遅いが漏れにくい
  • 画面の保存 ページを画像で撮って、そのまま読ませる。図表が主役の資料に効く
試す
同じ問いを4通りで投げる [25min]

問いは4通りとも同じものを使います。変えると比較になりません。

この3本の報告書に共通している章立てのパターンを教えてください。
根拠にしたファイル名とページ番号を挙げてください。

ページ番号まで求めるのが要点です。出せないときは、読めていません。

記録すること
  • 答えが出るまでにかかった時間
  • 3本すべてに触れているか。触れられなかった本はどれか
  • ページ番号が出たか
知る
なぜ1本だけ読めなかったのか [5min]

機械で数えるとこうなります。

ファイルページ文字が取れたページ1ページあたり
2025 工作機械9292 / 92508字
2024 蓄電池7878 / 78581字
2023 バイオ医薬品1871 / 1871.1字

PDF のページは、文字の層と画像の層の2つでできています。前の2本は両方が入っています。2023年のものは、ページ全体が 1280×720 の写真1枚です。人間の目には文字に見えますが、コンピュータから見れば風景写真と変わりません。

ややこしいのは、このファイルにもフォント(MS-Mincho)が埋め込まれている点です。最終ページの奥付だけがテキストで、そこで使われていました。フォントの有無では判定できません。

試す
画像にして読ませる [10min]

読めなかった1本を、画像として渡し直します。今度は図表の数値まで読めます。

2023_バイオ医薬品と再生医療の技術動向.pdf の12ページから14ページを見て、
何が書かれているか、図表の数値も含めて教えてください。

円グラフのパーセンテージ、棒グラフの上に載った数値、ページ下端の脚注の出所まで返ってきます。さっきまで1文字も読めなかったものが、です。

渡し方の目安
  • 一度に渡すのは20ページ程度まで。187ページを丸ごと渡すとうまくいきません
  • 解像度は110〜150dpi。上げても読める内容は変わらず、重くなるだけです
  • 目次だけ先に読ませて、使う章を特定してから渡すのが速い
知る
PowerPoint の場合はどうか [5min]

PPTX は中身が ZIP で、文字は XML にそのまま入っています。AI は画像認識ではなく、文字をそのまま受け取っています。だから PDF より速く、正確に読めます。

PPTX の中身AI から読めるか
テキストボックス・図形の中の文字・表のセル読める
スピーカーノート読める
PowerPoint のグラフ機能で作ったグラフの数値読める
貼り付けた画像の中の文字読めない
他ソフトのグラフを画像で貼ったもの読めない
左右の対比、矢印の向きといった構造伝わらない

座標は入っていますが、「AからBへ」という意味は入っていません。だから要約させると、書いてある文字は拾えるのに主張がぼやけることがあります。見出しに主張を文章で書いておくか、ページの画像もあわせて渡すと解決します。

考える
手元の資料に同じことが起きていないか [5min]

過去の提案書や報告書を PDF で保管していて、AI に読ませているつもりでも、中身が画像なら1文字も読めていません。それでも AI は他のファイルの情報だけで答えを組み立てます。答えが返ってくるので、読めていないことに気づけません。

判定は Claude Code に聞けば済みます。

このフォルダの PDF を1本ずつ調べて、テキストが取り出せるものと
画像だけのものに分けてください。ページ数と、取り出せた文字数も教えてください。

1ページあたり10字を切っていたら、まず画像です。紙をスキャンしたもの、印刷用に書き出したもの、他社から受け取った資料。このあたりが該当しやすいところです。

この187ページなら、元の PowerPoint を探すのが正解ですOCR にかけると、表と数字の読み違いを全ページ確認することになります。画像で渡すなら、必要なページを選ぶ手間が毎回かかります。この報告書は今後も参照されるので、1回だけの手間で済ませるべきです。元ファイルは社内のどこかに残っています。187ページを処理する前に、5分だけ探してください。
記録する場所と、持ち帰る解説04_過去事例演習/比較シート.md に4通りぶんの記入欄があります。投げ方は hints/step1_4通りの投げ方.md に。あわせて解説を3本入れました。解説1_PDFが読めないとき.md(判定と、使えるようにする4つの方法)、解説2_AIはPPTXをどう読むか.md(ZIPとXMLの中身、保管する形)、解説3_画像にして読ませる.md(渡し方と解像度の目安)。いずれも4通り試してから開いてください。
この3本の取り扱い2025年と2023年の2本には、表紙に開示範囲の注記があります。貴社内およびグループ企業内に限定されていますので、外部への転送はなさらないでください。2024年のものは公開版です。
S10

AI 時代の24時間

自分が画面を見ていない時間に、何が進んでいるか。

形式 座学目安 [10min]
聞く
3つの時間帯
使える時間
  • 移動中 スマホから音声で投げておく。着いた頃には調べ物が終わっています
  • 会議の合間 次の会議までの15分に、長い処理を投げる
  • 就寝中 1〜2時間かかるものは夜に回す。朝には出ています
重い処理は、自分が触っていない時間に寄せますAI が全力で動くと PC が重くなります。自分が別の作業をしている間に走らせると、どちらも遅くなる。だから「自分が触っていない時間にしかできないこと」を選んで投げるほうが効率が上がります。
S11

ディスカッション

優秀な部下に、寝ている間なにをやらせますか。

形式 全体討議目安 [25min]
考える
条件は1つだけ

その部下は優秀で、時間の制約がなく、こちらが寝ている間も動き続けます。ただし途中で質問はできません。朝、結果だけが出ています。

論点として置くもの
  • スライドの作成。1〜2時間かかるもの
  • 大規模な調査。翌日の会議に向けた事前の調べ物(予定を読んで、当日分を先に調べておく)
  • 既存のシステムの改修や整理。動作確認まで含めて
  • 上の3つを自動で回す仕組みそのものを作らせる
判断がいらない仕事から出してください朝まで質問できないので、途中で判断が要る仕事は向きません。逆に、手順が決まっていて量が多いものは全部向いています。
S12

演習④ PowerPoint のアドイン

今日の到達点です。土台は配ってあります。動かしてから、機能をご自身の言葉で足します。

場所 05_アドイン演習/使うもの Node.js / 完成済みアドイン成果物 機能を1つ足したアドイン目安 [35min]
PowerPoint の右側に出るパネル。骨子の貼り付け欄、見出しとして扱う記号の選択、スライドを作るボタンが並ぶ
起動するとこれが出ます PowerPoint の右側です。まずここまでを全員で確かめます。
午前に作った提案の骨子。箇条書きが並んでいる
貼るのは午前に作った骨子 S5 で手直ししたものをそのまま使います。ここで1日が1周します。
動かす
完成品を起動する [10min]

PowerPoint をいったんすべて閉じます。05_アドイン演習/ で Claude Code を起動し、次を送ります。

99_完成品/ のアドインを起動してください。PowerPoint で開けるところまでお願いします。

PowerPoint がひとりでに開き、右側にパネルが出れば成功です。「安全ではない」という警告が出たら「信頼する」を選びます。ここで詰まった方は手を挙げてください。前で同じ画面を出しますので、そちらを見ながら進めます。

試す
骨子を貼って、スライドが増えるのを見る [5min]

右側のパネルに骨子を貼って押すと、見出しごとにスライドの下書きが増えます。中身は HTML と JavaScript の2ファイルだけで、外部とは通信しません。src/taskpane.js も開いて見ます。特別なことはしていません。

足す
機能を1つ足す [15min]

05_アドイン演習/テンプレプロンプト.md に、そのまま貼れる依頼文と足す機能の候補が5つあります。1つで十分です。使ってみて足りないと感じたものを1つ選び、Claude Code に足させます。入力欄をもう1つ増やす、出力の形を変える、よく使う指示をボタンにする。小さいもので構いません。

聞く
社内に配るときに何が要るか [5min]

手元で動かすのと、社内の全員に配るのとでは、必要なものが変わります。署名、証明書、配布の経路。実際のハードルはここです。

CHECK

理解度チェック

4択5問です。選んでから、答え合わせを開いてください。

Q1. ストーリーラインを AI に出させたあと、そのまま使わずに手で直すのはなぜか。
A. AI の文章は日本語として不自然なため、表現を整える必要があるから
B. 論理は通っていても、その案件で言うべきことからずれるから
C. AI は箇条書きが苦手で、順番が毎回ばらばらになるから
D. 生成された内容には著作権上の問題が含まれる可能性があるから
正解は B。出てくるものは一般論としては筋が通っています。ずれるのは、その相手が一番気にしている点や、社内の力関係のような、入力していない情報に依存する部分です。だから直すのは表現ではなく順番と取捨選択になります。直した箇所を覚えておくと、そこがシートに足すべき項目になります。
Q2. 生成された PPTX のフォーマットが、テンプレートと1か所だけ違っていた。正しい扱いはどれか。
A. 大勢に影響しないので、そのまま提出してよい
B. 次回の生成時に直るよう指示を足し、今回はそのまま出す
C. 提出前に直す。1か所でも外れていれば社外には出せない
D. クライアントに事前に断りを入れたうえで提出する
正解は C。1件あたりの金額が大きい仕事では、資料の体裁そのものが品質の一部として見られます。90% 合っているという状態は、10% 外れている状態です。ずれが3か所以内なら手で直し、それ以上ならストーリーラインを直して作り直すほうが速く終わります。
Q3. 過去案件3件から共通する論点を漏れなく拾いたい。最も向いている読ませ方はどれか。
A. 人が要約した1枚のまとめを読ませる
B. AI にフォルダを歩かせ、必要なファイルを自分で開かせる
C. 検索で引っかかった箇所だけを読ませる
D. 3件のスライドを画像にして読ませる
正解は B。漏れにくさを優先するなら Agentic RAG です。時間はかかります。A は速くて正確ですが、まとめを作った時点までの内容しか入っていません。C は聞き方に依存し、言い回しが違うと拾えません。D は図表が主役の資料には効きますが、本文の細部は落ちます。速さを取るか漏れの少なさを取るかで選び分けます。
Q4. 案件フォルダの Skill で、AGENTS.md に書く内容として適切なのはどれか。
A. フォルダの一覧と、それぞれの名前の由来
B. 案件の進捗状況と、次回打ち合わせの日程
C. 使用しているソフトウェアのバージョン一覧
D. その案件で守らせたいこと。出所の付け方、使ってよい情報の範囲、避けたい表現
正解は D。フォルダを作るだけなら手でもできます。効いてくるのは、その案件で AI に守らせたいことを書き置ける点です。案件が変わればここだけ書き換えます。A は書いても動きが変わりません。B は変化が速すぎて、書いた翌週には古くなります。
Q5. 就寝中に任せる仕事の選び方として、正しいのはどれか。
A. 重要度が高く、翌朝すぐ必要になるものを優先する
B. 手順が決まっていて量が多く、途中で判断が要らないものを選ぶ
C. 難易度が高く、自分では時間がかかるものを選ぶ
D. 短時間で終わるものを複数まとめて投げる
正解は B。朝まで質問できないので、途中で判断が要る仕事は向きません。判断が必要な箇所で止まるか、勝手に決めて進むかのどちらかになります。C は判断が要る場合が多く、夜間には不向きです。D は自分が起きている時間に投げたほうが速く回ります。時間帯で分けるのではなく、判断の要否で分けます。
WRAP UP

持ち帰り

手元に残ったもの

4つ
  • ヒアリングツール(hearing.html)
  • 提案スライド(自分で直したストーリーラインから起こした PPTX)
  • 案件フォルダの Skill(~/.claude/skills/)
  • 機能を1つ足した PowerPoint のアドイン

言えるようになったこと

  1. どこを AI に任せ、どこで自分が判断するか。相談内容の整理と情報の収集は任せ、言う順番の決定は自分でやります
  2. ヒアリングで何を必ず聞くか。7項目を自分の言葉で決め、それを画面にしました
  3. 過去の資料をどの形で置いておくか。速さを取るか漏れの少なさを取るかで、置き方が変わります
  4. 自分が触っていない時間に何を任せるか。判断の要否で分けます

次の一歩

次の案件で、ヒアリングツールを1回使う持ち帰りはこの一点です。使ってみると足りない欄が必ず出ます。そこを足すのが2回目で、そこから先は毎回速くなります。作り直す必要はありません。

午前のデモで見た「保存すると案件フォルダが立ち上がり、要約が書かれる」仕組みは、03_案件フォルダSkill演習/91_Hook自動化/ に持ち帰り版が入っています。Windows と Mac の両方で動きます。試し方は中の README に書きました。

研修後に手元で引く資料は 07_補足/ にあります。第1回・第2回の教材、指示の型、道具の作り方、機密情報の扱い。教材サイトの下部からも開けます。

用語

今日出てくる言葉

聞き慣れないものがあれば、ここで引いてください。

語意味
Skill呼ばれたときに動く手順書。SKILL.md というファイル1枚で、プログラムではありません(公式ドキュメント)
Hook決めた場面が来たら自動的に走る処理。Skill が「呼ばれたら動く」のに対し、こちらは「場面が来たら動く」(公式ドキュメント)
CLAUDE.md全案件に共通する前提を書き置くファイル。毎回同じことを書かなくて済みます
AGENTS.mdその案件だけの前提を書き置くファイル。案件が変わればここだけ書き換えます
ストーリーラインスライドにする前の、言う順番を決めた箇条書き
SCQA状況・複雑さ・問い・答えの順に並べる骨子の型。相手がまだ問題を認識していないときに向きます
ピラミッド結論・根拠3つ・裏づけの順に並べる型。結論を先に聞きたい相手に向きます
RAG質問を受けてから資料を検索し、見つかった箇所だけを読んで答える仕組み
Agentic RAGAI 自身がどのファイルを開くかを決めて読みにいく形。遅いが漏れにくい
OCR画像の中の文字を読み取ってテキストにする処理。表が多い資料では読み違いが混ざります
Office.jsPowerPoint や Excel の中で動くアドインを作るための仕組み(Microsoft 公式)
タスクペインOffice の右側に出る作業パネル。今日作るのはこれです
localStorage入力内容をブラウザの中だけに保存する仕組み。外部には出ません(MDN)
Node.jsPC の中で JavaScript を動かすための土台。演習④で使います(公式サイト)
TIPS

手を速くする小技

場面やり方
やり直したいEsc を2回。直近100個・30日ぶんから、どこまで戻すかを選べます
途中で止めたいEsc を1回。止めたあと「いまどこまで進みましたか」と聞くと続きから再開できます
画面を見せたいMac は Shift+Command+4、Windows は Windows+Shift+S。貼り付けは Mac でも Ctrl+V
長い処理を投げる休憩や移動の直前に投げます。戻ってきたときに終わっています
同じ指示を毎回書いているその指示は CLAUDE.md か Skill に移せます。3回書いたら移しどきです
触ってほしくない場所がある依頼文に明記します。書かないと、周辺まで直されることがあります
出力が長すぎる「結論だけ3行で」と足します。あとから詳細を聞くほうが速く進みます
何を聞かれているか分からない「いま何を確認したいのか、1行で教えてください」と返します
HELP

困ったとき

症状初動
セットアップファイルが開かない(Mac)Control を押しながらクリックして「開く」を選びます。それでも開かなければ手を挙げてください
セットアップファイルが止められる(Windows)SmartScreen の画面で「詳細情報」から「実行」を選びます
セットアップで「要対応」が出たその画面のまま手を挙げてください。何が欠けているかが画面に出ています
Node.js が入っていないと出た午後まで時間があります。午前中に前で対応しますので、手を挙げてください
99_完成品/ に node_modules が無い手を挙げてください。取り寄せに数分かかるだけです。昼休憩までに済めば演習④に間に合います
昼休憩から戻ったら生成が進んでいないページの並びの承認待ちで止まっています。画面の質問に「承認します」と返せば動き出します。休憩の残り時間で生成は間に合います
/adl_deck2 が候補に出ないClaude Code の入力欄でスラッシュを1つ打つと候補が出ます。並んでいなければ、演習フォルダで起動し直します
生成が止まったように見える3分は待ちます。5分以上動かないときは Esc を1回押して「いまどこまで進んでいますか。残りを続けてください」と送ります
エラーが出たエラーの文をそのまま貼り付けます。1行だけ「原因を1行で教えてから直してください」と足すと精度が上がります
hearing.html を開いても真っ白生成が途中で切れていることが大半です。「hearing.html が真っ白です。ファイルが途中で切れていないか確認して、直してください」と送ります
直したのに画面が変わらないブラウザで Command + R(Windows は Ctrl + R)を押して読み込み直します
入れたデータが消えた別のブラウザで開いていないか確認します。データは、保存したブラウザにしか残りません
元に戻したいEsc を2回押すと、どこまで戻すかを選べます。直近100個、30日ぶん。ターミナルのコマンドで消したファイルは戻りません
スクリーンショットが貼れないMac でも Ctrl + V です。Cmd + V は iTerm2 でのみ効きます。画像ファイルをウィンドウにドラッグしても入ります
日本語のファイル名が文字化けしたZIP の展開時に起きます。「このフォルダの文字化けしたファイル名とフォルダ名を、すべて元に戻してください」と送れば直ります
アドインのパネルが出ない手を挙げてください。前で同じ画面を出します。ここで時間を使わず、そちらを見ながら進めていただきます
頼んでいない場所まで直された制約が書けていません。Esc 2回で戻してから、触ってほしくない場所を明記して投げ直します

ヒントの場所

手が止まったときだけ開いてください。先に開くと、考える機会がなくなります。

いつファイル
聞く項目が思いつかない02_ヒアリングツール演習/hints/step1_項目の決め方.md
シートの作らせ方が分からない02_ヒアリングツール演習/hints/step2_作らせる指示.md
ストーリーラインが出ない02_ヒアリングツール演習/hints/step3_ストーリーライン.md
スライド生成への渡し方02_ヒアリングツール演習/hints/step4_PPTXへ渡す.md
Skill が作れない・呼び出せない03_案件フォルダSkill演習/hints/step1_Skillの作らせ方.md
4通りの投げ方が分からない04_過去事例演習/hints/step1_4通りの投げ方.md
アドインを社内に配るには05_アドイン演習/hints/step1_社内配布の壁.md

99_参考解/ と 99_完成品/ は、自分で作り終えてから開いてください。